新潟県醤油協業組合さん  佐田直人さん 星睦水さん

昔から変わらぬ技術とAIシステムを取り入れた工場に一歩足を踏み入れたら、まるでジブリの世界にいるような感覚に包まれました。各工程で香りが変化する、五感で楽しめる工場見学を体験しました!!

 

※文章が少し長いので、短く区切ってみました。

 

400年以上の歴史がある新潟県の醤油づくりを今も尚進化させ、挑戦し続ける「新潟県醬油協業組合」さん。 伝統の技術を受け継いできた新潟県内の老舗醸造元がなんと18社も集結して誕生した会社です‼ 現在、県内醤油生産量の7割を製造し、県内ナンバーワン!(私も知らず知らずのうちに、お世話になっていることを知りました!)

商品開発にも力を入れており、造った年で味が変化する「郷土の実り」は自然の温度変化だけで丸一年発酵、熟成させた生醤油です。その年の材料や気候により毎年の変化を楽しめるワインのようなビンテージ醤油です。 その他にも、麵つゆ、たれつゆ、ラーメンスープや焼き肉のたれなども製造しているという事に驚きました。 新潟県に住んでいたら、新潟県醬油協業組合さんの調味料を口にしているかもしれません(笑)。

 

(登場位)


佐田さん

自社のYouTubeにも登場する佐田さん
醤油、発酵への熱い情熱をストーリー仕立てにお話し下さいました。興味深いお話にどんどん引き込まれて行きました。


星さん

今回の見学で工場案内をして下さった星さん
管理栄養士で商品開発や品質管理を担っています。物腰柔らかい印象とは裏腹に、喋り出したら止まらない語り口調に、醤油への熱い思いを感じました。

 

フードロス削減の取り組み?

美味しそうなかんいがする厚紙⁉

その正体は、諸味を絞る際に出てくる絞り粕。 圧搾する際に布に諸味を包むのですが、見た目は茶色い座布団です。(何枚も積み重ねた諸味はまさしく座布団タワー‼)ゆっくりと醤油を絞り出した後に布と一緒に大きなドラム式乾燥機のような機械で、グワングワン回されて飛び出てくるんです。 その光景は大人からこどもまで楽しめること間違いなし‼触り心地は繊維質の厚紙のようで元々大豆だったとは思えない硬さでした。(流石、座布団タワー‼(笑)) そして、その絞り粕は飼料として利用されています。 人間がそのまま食べなくても、飼料にすることによって全て循環しているということでした。 調味料だけではなく、皆さんの日々の食卓にも寄り添った取り組みをしています。

 

工場内へ潜入!!


事務所から工場へ向かう途中、幻想的な光景に出会いました。 白い煙が立ち込め、背景は綺麗な青空で、それはまるでジブリの世界でした!その煙の正体は大豆を茹でて冷ます際に出る湯気でした。キッチンで見慣れているはずの湯気が、こんなにも幻想的に見えるなんて… これも醤油マジックと考えてしまいました?

醤油が出来るまでの工程は大きく分けて①原料処理②製麹(せいきく)③仕込み④圧搾⑤火入れ・ろ過⑥詰め の6つの工程に分かれています。 中でも私が心惹かれたのは、①大豆を蒸す小麦を煎る機械②円形製麹室③発酵タンク④圧搾機。 これらはすべて機械を導入して、前半の工程は管理者のみのほぼ無人の工場でした。 爆音の中、大豆の蒸した香りと小麦の香ばしい香りに包まれました。 煎って引き割った小麦と蒸した大豆に種麹を加えて混ぜて蒸気機関車のような装置で熱を入れてからベルトコンベアに乗せられて、製麹室に運ばれて行きます。 ここまでの工程はほとんど人間の手は加わっていませんが、作業後の洗浄は手作業で行っています。 麹づくりは麹菌と雑菌の戦いで、装置をきれいにすることは大事な品質管理の仕事一つだそうで、 この作業がより良い麹が出来上がる秘訣との事でした(やっぱ、お掃除ってとっても重要なんですねー)。 そして、屋外には発酵タンクと一緒に並ぶ様に、黄色いタンクがありました。 (これは塩水が入ってるタンクで、特殊な樹脂でできていて黄金に光り輝くタンクはとても幻想的でしたー。) 出来上がった麹に塩水を混ぜて発酵タンクに仕込み、目に見えない微生物が働き、数か月かけて発酵熟成します。 醤油造りには微生物は欠かせないとの事ですが、季節や温度などに応じてきめ細やかな管理が必要で、長年つちかってきた技術が必要との事です。 発酵・熟成が終わったら「もろみ」を布で包んで、もろみタワーにして「もろみ」自体の重さで醤油をじわじわとにじみ出します。使用される布は特殊加工されたもので、5年間は使い続けているそうで布の色を見ると凄い歴史を感じました。(ここで、圧搾された「もろみ」が絞り粕としてプレスされて出てくるんですね。) その後、火入れ・ろ過されるのですが醤油の種類によって様々なタンクが立ち並び、中の色が確認できるタンクで 色の濃さが様々で醤油の種類の多さに驚きました。 ここで火入れすることで、微生物の殺菌などをしていくのですが、大豆、小麦、食塩のみでほかの保存料や添加物などを入れないものを生醤油(きじょうゆ)といいます。県産原料で絞ったまま何も加えず、火入れだけした生醤油(きじょうゆ)が「郷土の実り」ですね。 出来上がった醤油は、様々な容器に詰められていきます。これらは、スーパー、直売所、飲食店と様々な場所へ送られて行くそうです。

 

「越後ど発酵」協同プロジェクトに参加して

南長岡を拠点とする4社が参加する共同プロジェクトで、お隣でありながらも、交流が殆ど無かった柏露酒造さんと、「越後ど発酵」を通じて、改めて繋がりが出来たそうです。 (同じ発酵を使ったメーカーとはいえ、造るものによって工程も様々で、今回はお話を伺って、皆さんがリスペクトしあっていることを感じました。)「一度発酵を止めた醤油が酒粕、米麹と追熱(再発酵)させることにより、再度発酵が始まり、より美味しさを増していく様は、まるで私たちの「越後ど発酵」協同プロジェクトそのものだと思いました。今後も、新潟県内の蔵を巻き込んで、楽しみながら長岡の活性化に取り組んで行きたいです。(佐田さん)」と語るのが印象的でした。

見学を終えて

今回、見学をさせていただき、元々あった醤油への関心と興味がより深いものになりました。 発酵の町と言われる長岡ですが、毎日口にしている醤油がどのように造られているのか、知らない方がほとんどだと思いました。 私も実際、見学させて頂いて醬油の価値観が変わりました。 昔ながらの製法で木樽に仕込む醤油仕込み体験も行っているそうなので、次回はぜひ参加させていただきます‼

Plantform 筆者 小杉美紀    撮影 佐藤ひとみ

 

<新潟県醤油協業組合 お問い合わせ>

アクセス:新潟県長岡市十日町1901番地1
HP:https://kikoshin.co.jp/
電話番号:0258-22-2106